「最後の部屋へ」
襖絵制作、最後のひと部屋に取り組んでいます。
2011年に始まった「退蔵院方丈襖絵プロジェクト」。
「五輪。仏教において万物を構成する要素とされる、地水火風空。」
その画題のもと、方丈5部屋の襖絵を描くことが絵師の仕事です。
この夏、4部屋目の襖絵を描き上げた時。
西陽がほんのり射し込むアトリエで
ふと体操座りをして、一息つくと、心にしみてきました。
「あぁ、やっとここまできたなぁ。」と。
今までは、山を登る中、
ともかく「次の地点」を目指し進んでく感覚だった。
まだまだ、次も、その次もあるぞ!って。
4部屋目が出来た時に初めて、
雲が少しひらけて「山頂まであと少し」と実感できたのだと思う。
体操座りして佇むその時間や
湧き上がる感情も、大切に受けとりたいと思った。
応援してくださっている方々には、
今の地点をメッセージでだけでもお伝えできればと、久しぶりに投稿しました。
心込めて表現します。
祈りの場に、生きるいのちのいとしさを。
襖絵が全部完成して、お披露目できる日を楽しみに ー。
引き続き、プロジェクト共々よろしくお願いいたします。
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写真は、
1:2015年作/虫と秋明菊
2:スケッチブックに描いたお花たち
4部屋目ができて、5部屋目の襖絵に取り掛かるまでの間、
過去に半紙に描いたものを裏打ちしたり、スケッチしに散歩に出かけたりした。
その時間は私にとって、心も体も癒され、ゆったりと力を養うものでした。
つむぐ線。
愛おしいなと思う感覚だけが、そっとそこにあればいいな。
最後の部屋の襖絵も、のびやかに進めます。