墨運堂・試墨会
2011年6月8日(水)奈良墨運堂(編・著 青木芳昭、岩泉慧)
退蔵院障壁画制作に使用する墨の選定のため、奈良西ノ京にある株式会社墨運堂に行く。
今回の参加メンバーは絵師の村林由貴、プロデューサー椿昇教授、アドバイザーは株式会社墨運堂会長 松井重憲氏、社長 松井茂浩氏、専務 松井孝成氏、笹川文林堂専務 笹川雅義氏、青木芳昭教授、京都造形芸術大学大学院生 岩泉慧、以上7 名が参加。
今回の退蔵院の障壁画プロジェクトのテーマは京都を中心とする近畿の文化の粋を集める、原材料も国産のものを使用し、スタッフもできるだけ近畿の人々で構成し計画を進めた。
墨運堂には永楽庵という試墨が出来る施設があり、ここには百選墨を始めとする墨運堂の墨、約150種が常備されている。
百選墨は先代の会長、松井茂雄氏が長年に渡る墨研究の成果を世に問うべく昭和四十六年に一部発表していた墨を昭和四十七年より製造を始める。
百選墨はそれまでの試作品の中から百種選び出し、一墨質、一型柄(一銘柄)を理念として造られた墨で、日本の墨の最高峰と言われています。
今回、墨運堂を選んだ理由としてはアドバイザーの青木芳昭氏があらゆる墨を試した中で、国産の墨で最も優れた能力を持つのは百選墨であるとのことから墨運堂が選ばれた。
硯に関しては日本の硯では墨の能力を最大限に活かせるものが無く、中国の古硯を用意した。
そして、文房四宝(墨、硯、紙、筆)のアドバイザーとして笹川文林堂の笹川雅義氏にお願いした。
また、今回の試墨会は紙の選定も兼ねており、紙も兵庫県名塩の泥間似合紙や中国の画仙紙など数種類を用意し、墨との相性も試験してもらった。
現在、物部さんにより和紙の選定、及びサンプルの発注を行っておりサンプル到着後、青木研究室にて青木と岩泉でドーサ引きを行い、絵師、村林が修行から帰って来る7/9 迄にサンプルの紙を渡せるよう準備中である。
松井会長より譲り受けた歙州硯の板硯で、端渓硯の様に滑らかな肌の石質。
歙州硯は基本、鮫肌の様な石質でこのような石質の歙州硯はめったに現れない。
多くの硯の中からこの歙州硯を選択した。
この歙州硯の選択理由として、松煙墨、油煙墨、両方を滑らかに摩り下ろすことが出来、墨色の発色がとても良かった為、この硯を選定した。
左)イメージに合う墨をいくつか選んだところで実際に試墨してもらう。
右)色々な紙に試墨する。泥間似合紙(生紙、ドーサ引き両方共裏打ち済み)中国の画仙紙4種類(笹川文林堂提供3種類、墨運堂提供1種類)